育児に関する環境を整えることは、企業において人材確保のための重要な取り組みです。
育児しながら働ける環境を整えることにより、従業員の育児による負担を軽減し、モチベーションの向上を図り、能力を積極的に生かしてもらうことにより、労働生産性への効果が期待されます。
また、従業員にとっては、育児しながら可能な限り少ない負担で働けることにより、ワークライフバランスが向上し、安心して育児と仕事が両立できるようになります。
2025年4月1日以降に適用される、ルールと制度の基本となるところを簡単にまとめてみました。
出産する従業員は、出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から、出産の翌日から8週間は休業することができます。
健康保険の被保険者は、産前産後休業期間中、出産手当金制度が利用できます。
出産手当金は、出産のために休業し、給与の支払いを受けなかった場合に受給できる給付金です。
産前産後休業期間中は、事業主、従業員ともに社会保険料の免除が受けれます。
子どもを養育する従業員は、その子どもが原則として1歳に達するまで休業することができます。
1歳と1歳6か月の各時点で保育所等に入れなかったなどの事情によっては、最大2歳に達するまで休業することができます。
雇用保険の被保険者は、育児休業中、育児休業給付金制度が利用できます。
育児休業給付金は、育児のために休業し、給与の支払いを受けなかった場合に受給できる給付金です。
注意しておきたいのは、被保険者期間が最低でも12か月以上あることが必要です。
子の出生後8週間以内に取得する育児休業(産後パパ育休)に対して支給される給付金です。
以前、育児休業はまとめて1回でとらなければなりませんでしたが、法改正により育児休業を分割して取得できるようになりました。
それに合わせた形で育児休業給付金も、出生時育児休業給付金として、育児休業に合わせて分割して受給できるように変更されました。
実質は、育児休業給付金と同じです。
2025年4月1日から新設される給付金で、両親が子の出生日又は出産予定日のどちらか遅い日の翌日から8週間までに、それぞれ通算して14日以上の育児休業を取得した場合に支給されます。
育児休業給付金又は出生時育児休業給付金に上乗せされる形で支給されます。
育児休業期間中は、事業主、従業員ともに社会保険料の免除が受けれます。
育児短時間勤務制度は、3歳に満たない子を養育している従業員が希望すれば、1日の所定労働時間を短縮して勤務できる制度です。
2025年4月1日から新設される給付金で、2歳未満の子どもを養育するために育児休業から引き続き、同一の子について所定労働時間を短縮して就業した場合に支給されます。
注意しておきたいのは、被保険者期間が最低でも12か月以上あることが必要です。
2025年4月1日から内容が変更となります。
小学校3年生修了までの子供について、病気や予防接種などの世話に加えて、学級閉鎖や入学式などの式典などの際に取得できるようになります。
取得可能日数は、1年間に5日(子が2人以上の場合は10日)です。
1歳未満の生児を育てる女性は、休憩時間のほかに、1日に2回、それぞれ少なくとも30分の育児時間を取得できます。
1回で60分取得することも可能です。
ただし、所定労働時間が4時間以内の場合は、1日に1回、少なくとも30分です。
休憩は、労働時間の間に取得しなければなりませんが、育児時間は、所定労働時間の最初や最後に取得することが可能です。
育児休業について適正な取得や制度設計により、一定の受給要件を満たす事業主については、両立支援等助成金を受給することができます。
労働環境を改善するとともに、健全な事業発展のために、積極的に活用したいところです。