社会保険料の給与計算・賞与計算適用時期

概要

 社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)料は、被保険者ごとの標準報酬月額、標準賞与額及び社会保険料率に基づいて計算されます。

 計算に必要な標準報酬月額、標準賞与額及び社会保険料率は、法令の定めに基づいて決定及び改定されます。

 これらは、どのタイミングで、どのように給与計算や賞与計算に適用されるのでしょうか?

 改定があった場合は、いつの給与計算から新しい標準報酬月額や社会保険料率を適用して計算するのでしょうか?

 給与計算・賞与計算での社会保険料控除について解説してみたいと思います。

 なお、このページの内容は、保険者が全国健康保険協会(協会けんぽ)のケースを前提としております。

 健康保険組合などご加入の保険者によっては、異なる場合がありますことご承知おきください。

標準報酬月額・標準賞与額の決定や改定の時期は?

 標準報酬月額は、資格取得時決定(入社などにより被保険者になった時)、定時決定(毎年9月)、随時改定(基本給などの固定的な給与が大幅に変わった時)などの手続により、その時の報酬(給与や通勤手当などの労働の対償として、経常的に受けるすべてのもの)に基づいて決定、改定されます。

 決定、改定された標準報酬月額は、保険者から標準報酬月額決定通知書により通知されます。

 標準賞与額は、支払われる賞与(労働の対償として、3か月を超える期間ごとに受けるすべてのもの)の額に基づいて決定されます。

 支払われる賞与額の千円未満の端数を切り捨てた額が、標準賞与額です。

 ただし、標準賞与額の上限は、健康保険は年度(4月~翌年3月)の累計額573万円、厚生年金保険は1か月あたり150万円です。

社会保険料率の改定の時期は?

 社会保険保険料率のうち、健康保険料率と介護保険料率は、通常、毎年3月に改定されます。

 例外的に異なる場合がありますので、実際の改定については、保険者からの情報を確認する必要があります。

 厚生年金保険料率は、2017年9月の改定をもって、18.3%に固定されており、現在のところ改定予定はありません。

社会保険料がかかるのは?

 社会保険料は、通常、月末日現在の状況によって、その月の社会保険料が確定します。

 月末日現在の被保険者に、月末日時点の標準報酬月額と社会保険料率で計算された社会保険料がかかることになります。

 例えば4月分の保険料であれば、4月30日現在被保険者について社会保険料がかかります。

 これにも例外があり、月末日現在において被保険者でなくても、その月の社会保険料がかかる場合があります。

 同月得喪の場合です。

 同月得喪とは、同一の月において、取得と喪失が生じることです。

 入社して、すぐに退職した場合などが、これに当てはまることがあります。

 ここでは、詳細な同月得喪の説明は省略いたしますが、同月得喪の場合は、社会保険料控除が必要とご理解いただいていた方が良いかと思います。

給与計算での社会保険料の控除額は?

 社会保険料は、労使折半にて負担することになっています。

 給与計算にかかる社会保険料の控除額は、次の計算により算出されます。

健康保険料・介護保険料控除額 = 標準報酬月額 × (健康保険料率+介護保険料率) ÷ 2

厚生年金保険料控除額 = 標準報酬月額 × 厚生年金保険料率 ÷ 2

 控除額の端数処理は五捨六入です。

 ただし、労使で端数処理の特約がある場合は、その特約に従い端数処理を行うことができます。

給与からの控除の時期は?

 上記で計算された社会保険料控除額は、社会保険関係法令(健康保険法・厚生年金保険法)では、翌月の給与から控除することになっています。

 例えば4月分の保険料であれば、5月に支払われる給与から控除します。

 翌月控除の例外として、退職する場合は、前月分と当月分の社会保険料控除額を、当月分の給与から控除することが可能とされています。

 例外である退職する場合以外において、経常的に当月控除の取り扱いをされているところも見受けられますが、社会保険料が月末日現在の状況で確定することから、実際の保険料と控除額に差額が生じることにもなり得ますので、社会保険関係法令の規定どおり翌月控除とする方が事務処理的にはスムーズかと思います。

 事業主が納付する社会保険料の納付期限は、翌月末日ですので、この観点からも翌月控除による事業主への実質的負担はないと考えられます。

賞与計算での社会保険料控除額は?

 賞与の社会保険料も、計算方法は給与と同じです。

 上記、給与計算の標準報酬月額を、標準賞与額に置き換えて計算してください。

賞与からの控除の時期は?

 賞与に対する社会保険料は、その支払われる賞与から控除します。

 ただし、この場合も月末日現在の被保険者について社会保険保険料がかかりますので、賞与の支払いを受けた後に退職するなどにより、その月の月末日現在において被保険者でなくなっていた場合は、控除していた社会保険料は被保険者であった者に返還する必要があります。

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2025年4月24日
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